コロナ禍の登山と感染予防

支部長 野口いづみ


2mソーシャルディスタンス
 コロナ感染症による緊急事態宣言が解除され、登山も自粛が解除されましたが、まだ予断を許さない局面です。現段階で登山にあたって、自分から登山者と住民に感染させず、自分も感染しないための注意を具体的に示します。山行委員会の西山さより委員がまとめたものに、野口が加筆・修正などを行いました。

登山前には、3日前から体調と体温のチェックをする。山行委員会の山行に参加する者はリーダーに記録を提出する。発熱や風症状のような異常があれば山行に参加しない。感染対策として普段から自分の顔を触らないように注意する(コロナに限らず、感染の多くは自分の指に付着したウイルスが目、鼻、口から体内に侵入することが原因になる)。山行には除菌シート・ジェルなどの消毒グッズ、マスク。プラスチック製などの薄い手袋、密閉できるゴミ袋を携行する。

登山中には3密をさけるように心がける。1パーティーは10人未満とする。ソーシャルディスタンスとして、前後2m以上間隔をとる。速度が速い場合は間隔を長くとる必要がある。真後ろにいると飛沫を浴びやすいので、できるだけ真後ろを避け、並んだり、斜め後ろを歩く。すれ違う場合は横方向で1.5m以上の間隔をあける。休憩時も密集しないように、間隔をとって休む。手指の消毒をこまめに行うが、特に鼻かみ・咳くしゃみ後、トイレ使用前後、食べる前、鎖場や梯子を通過後、共同装備(ザイル・カラビナ等)を使用した後には必ず消毒する。大声で話さないようにする。食糧・ドリンクなどの共有をしない。食料・ドリンクを共有しない。
マスクについては、登山中にマスクをしていると呼吸が苦しくなりやすく、夏季になるので熱中症の危険も生じる。厚労省は、熱中症を避けるために屋外では人との距離が2m以上あればマスクを外すことを推奨している。山中では混雑時や人とすれ違う時など、状況を見て装着すればよい。また、呼吸が荒くなるようなピッチで歩くと唾液の飛沫が飛びやすいのでゆっくり歩く。そのためにもチャンジングな登山は避け、2グレード程度下げた登山をする。リスクの低い登山をすることは、医療従事者へ負担をかけないという点からも重要だ。

移動中として、公共交通機関内ではマスクを着用し、車内やトイレの床にザックや荷物を置かず、手すりや吊革に触れないようにする。車やタクシーでは窓を開け換気をする。現地では地元住民との接触をなるべく避ける。

  宿泊の場合は日帰り登山に加え、下記の注意が必要だ。
1.小屋内、テント内ではマスクを着用する。手の消毒をしっかりする。他の方の荷物に触れないように注意する。
2.小屋泊の場合は必ず予約を取り、小屋の指示に従う(靴下を替えるように指示される場合がある)。食事は対面を避けて摂る。寝具はシュラフかインナーシュラフを持参するのが好ましい。
3.テント泊の場合はできれば一人一張り好ましいが、不可能な場合、利用者は定員の半数以下を心掛ける。換気をしっかり行う。夏はタープの使用も考える。

最後に
登山の空白期間が長引くと、体力と山歩きの勘が低下し、精神的にも鬱を招きやすい。コロナ感染に注意し、適切な配慮をして登山を楽しんでほしい。

参考:JAC会報「山」901号(6月号)」p.14「コロナ禍と日帰り登山の注意」(野口)
日本登山医学会HP(http://www.jsmmed.org/)
TeamKOI「登山 withコロナ」
医師や山小屋経営者、山岳ガイド、ツアー会社らで構成される「team KOI」が登山者に向けにヤマケイオンラインに発表し、山岳ライターの柏澄子さんがまとめたもの。
【前編】「山に登る前と準備」
https://www.yamakei-online.com/yama-ya/detail.php?id=1046
【後編】 登山中、下山後に気をつけること
https://www.yamakei-online.com/yama-ya/detail.php?id=1047